FDA、PMDA、TFDAによる複数規制当局査察への対応を成功に導いた事例

概要

抗体薬物複合体(ADC:Antibody-Drug Conjugate)の開発に強みを持つ大手バイオテクノロジー企業は、2020年に第III相臨床試験のパートナーとしてICONを選定しました。ICONは、日本、韓国、シンガポール、台湾を含むアジア太平洋地域(APAC)および、ペルー、メキシコ、アルゼンチン、ブラジルを含む中南米地域(LATAM)において、臨床開発オペレーションおよび地域統括機能を提供しました。 

本試験は、再発または転移を有する子宮頸がんを対象とした後期開発段階のグローバル試験であり、複数地域にまたがるオンコロジー試験でした。試験の成功には、ICONとスポンサーとの綿密な計画立案および密接な連携が不可欠でした。試験期間中には、米国食品医薬品局(FDA)、医薬品医療機器総合機構(PMDA)、台湾食品薬物管理署(TFDA)による複数回の規制当局査察が実施されました。ICONは、世界中の治験実施施設が査察対応可能な状態(Inspection Ready)を維持し、GCPに準拠するとともに、施設所在地にかかわらず一貫した試験運営が行われることを確保しました。 

課題

FDAは、本試験で最も症例登録数の多かった日本の施設(24例登録)を査察対象として選定しました。また、PMDAとTFDAもそれぞれ査察対象施設を選定しました。FDA、PMDA、TFDAによる査察対応に加え、APACおよびLATAMにまたがる多数の治験実施施設への対応も求められ、本試験は規制対応、地域特性、運営規模の観点から極めて複雑なグローバルプロジェクトとなりました。複数地域にわたる査察対応を成功させるためには、各国・各地域のローカルチームとグローバルチームとのシームレスな連携が求められました。加えて、査察対応によるスケジュール、リソース、品質管理上の負荷が臨床試験全体へ影響を与えないよう適切に管理する必要がありました。

同時に、査察対象施設については細部に至るまで万全の準備を整える必要がありました。いずれかの規制当局から指摘事項(Findings)を受けた場合、承認審査の遅延につながり、スポンサーのグローバル開発戦略全体に重大な影響を及ぼすリスクがありました。

ソリューション

ICONは、FDAおよび各国規制当局査察への豊富な対応実績とグローバル組織としての強みを活かし、包括的な査察準備体制を構築しました。全査察対象施設に査察対応支援ツールを展開するとともに、グローバルで蓄積された知見を活用して、体系的な査察準備ロードマップを策定し、査察成功に向けた準備を推進しました。

また、査察関連リスクを早期に特定し、スポンサーと協力して是正・軽減策を計画することで、双方の信頼関係と連携体制を強化しました。

PMDA査察においては、早期からの準備とICONが有するベストプラクティスの活用により、査察対象施設は十分な対応体制を整えることができました。また、TFDA査察では、経験豊富な現地チームがスポンサーと緊密に連携し、効率的な査察対応を実施しました。このような複数査察が同時進行する複雑な状況下においても、高い品質を維持しながら確実に対応を遂行することが成功の鍵となりました。

成果

FDA、PMDA、TFDAによる3件の査察すべてにおいて、指摘事項(Findings)は認められませんでした。これは、ICONの優れた査察準備体制と、治験実施施設に対する支援の成果を示すものです。APAC、LATAMおよびグローバルチーム間の連携と、ベストプラクティスの共有が成功の大きな要因となり、スポンサーの開発プログラムを強力に支援しました。 

その結果、米国および日本を含む主要市場において、開発スケジュールの遅延や承認上のリスクを生じることなく、規制当局による承認取得を支援しました。

さらに、ICONのプロアクティブなリスクマネジメントと、効率的かつ協働的な査察準備活動は、スポンサーから「これまで協業した中で最も優れたパートナー

」と評価されました。この成果により、ICONは後期オンコロジー開発領域における信頼できるグローバルパートナーとしての地位をさらに強固なものとしました。 

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